加納朋子「いちばん初めにあった海」

堀井千波は周囲の騒音に嫌気がさし、引っ越しの準備を始めた。その最中に見つけた一冊の本、『いちばん初めにあった海』。読んだ覚えのない本のページをめくると、その間から未開封の手紙が…。差出人は"YUKI"。だが、千波にはこの人物に全く心当たりがない。しかも、開封すると、「私も人を殺したことがあるから」という謎めいた内容が書かれていた。"YUKI"とは誰なのか? なぜ、ふと目を惹いたこの本に手紙がはさまれていたのか? 千波の過去の記憶を辿る旅が始まった―。心に傷を負った二人の女性の絆と再生を描く感動のミステリー。

初めて、この人の第1作「ななつのこ」を読んだとき、当然のように私もまた「なんだ、北村薫ではないか」とか思ったものだった。。。

 ただ、北村薫の「私」たちが、勿論のように隅々まで理想を与えられているのと比べると、「ななつのこ」のヒロインは、いきなり最初のページからざらっとした「本物の女性」のナマさ加減というものを感じさせて、それで、何となく居心地の悪さをも感じさせられた。。。

 ミステリとしての「謎」性についても、どうしても「本家」北村薫と比較しがちになってしまい、私はあまり加納朋子さんのよい読者とは言えないようだ。。。

 それでも、感性が今のような状態の時には、いっそ本家に比べればある意味不器用なほど「へた」なこの小説が、ラストシーンでどうしても涙腺を緩ませてしまう。

 「つまらない」言葉がとても胸を「つまらせる」ときがある。それは、その言葉が必要なときだからなんだろう。。。?


 *

 併録のこの少女は「麻子」だったんだろうか?

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加納朋子「スペース」

クリスマス・イブを駆け抜けた大事件のあと、大晦日に再会した瀬尾さんと駒子。ふたりのキーワードは“謎”。『ななつのこ』『魔法飛行』に続く、待望久しい駒子シリーズ第三作。

著者からのコメント
はじめに
この本を手に取ってくださった皆様、どうもありがとうございます。本作品は、『ななつのこ』『魔法飛行』(共に創元推理文庫)に続くシリーズ第三作にあたります。私が『ななつのこ』でデビューしたのが一九九二年、その続編が出たのが翌九三年のことですから、「続きはまだ?」というありがたいお声を耳にしつつ、お待たせすること十年以上……もう誰一人待ってくださってなんかいないのでは、と怯えつつ、ようやく『スペース』を上梓することができました。スローテンポにも程があると、我ながら呆れてしまいます。
そういう、なんとも間延びした間抜けなシリーズなので、この上お願いするのはあまりに厚かましくて気が引けるのですが、できましたら『スペース』単体ではなく、『ななつのこ』『魔法飛行』と順番に読んでいただけたらなあ……と。 もちろん、本作品だけでも完結したひとつのお話としてお読みいただくことはできます。ですから私のこのお願いは作者の単なるわがまま、もしくは「冷めないうちに食べてね」という、おかあさんの台詞のようなものとして、お心に留め置いていただけましたら幸いです。(加納朋子)


「スペース」と「バック・スペース」、2つの話が入っていて、、、 そして、実は「駒子の話」としては、なんと「スペース」の方で終わってしまうのだ。そしてまた、この「スペース」単体1つだけだと、なんだか今ひとつ物足りない、、、
 それが、、、続く「番外編」のような「バック・スペース」で、大きく補填して飛翔してしまうのだ。。。
 「バック・スペース」というタイトルは、「スペース」の単なる対句なんだろうなくらいに思っていた。よくある「もうひとつの視点」の話だからだろう、と。
 けれど、このタイトルは、『このキー』のことだったのだ。。。

 本格ミステリとしての驚きさえも最後に用意してくれて、見事に「駒子シリーズ」は結実した。
 こんなふうに力をくれるから、、、だから、本は読んでいたいものなのだ。。。

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