わが細胞は三原順 その10

「はみだしっ子2」、考えると「こわい」かも……(^^;。
 でも、だからこその三原順だとも思うんですけどね。読者が期待する通り、予想する通りのことしか書かないのであれば……。
 考えてみれば、「つれていって」だって、グレアムとアンジーのあの壮絶な「心理バトル」は、最初から順を追って読んでいた人には辛いものがあったのかもしれませんね。

 三原順はいつも「結論」を得々として書いていたのではなくて、「過程」をそのまま剥きだしでぶつけていたような気がします。
 だから、「はみだしっ子2」は書かれ始めようとしなければならなかったのかな……と思っているところです。

 多分、あれからも連中の上には「いい加減にしてくれよ……」と思いたくなるほど、「不幸の種」が降りかかってきたと思うんです。子供の頃のジャックやロナルドに降りかかってきていたものが、大人になった彼らの上にもそのまま引き続き降りかかってきていたように。
 けれども、おそらく、連中はそれに対して目をそむけることなく、逃げをうつことなく、まっすぐ、生きていってくれたんじゃないだろうかな……と。そんな姿を見せてくれたんじゃないだろうかな……と。
 そんな連中の姿を、やはり見ていたかった……と思ってしまったりするわけなのでした。ま……自分の心の支えにしたいだけなんだけど(笑)。

 いや、でも、やっぱり、彼らの行く末は知りたかった……いまでもやはり知りたい。
 あの彼らは、一体、どうやって、あの先、どんなふうに生きていこうとし、また生きていったのか、生きていっているのか……知りたいと、とても思います。
 やっぱり、野垂れ死にしたいウィリアムは、グレアムの長じた姿なのかなあ。
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わが細胞は三原順 その9

三原順さんの、書かれることのなかった新作は、「はみだしっ子2」だったそうです。
 どんなに……読みたかったことでしょう。
 いま、大人になって「しまい」、思うのは、──それは、たぶん、ロナルドが思ったことに似ていて……。
 ジャックはいつまでこんな生き方を続けていけるんだろう……と。
 そして──ジャックは、ああして続けていた……。
 僕は思っている。
 僕はいまこうして「こんなふうに」ここにいる。
 彼らは?
 あの彼らは……「大人になってしまった」あと……どう、どうして、どんなふうに、生きていっているんだろう?
 彼らはどこまであのままで、そしてどこまであんなふうで、この「世の中」に生きていっているんだろう。
 おそらく……おそらくは、「はみだしっ子」たちがあのように生きていられたのは、彼らが「子ども」だったからであり。
 けれど、ただそれだけだと、それだけのことだからだと、そんなふうに冷笑的に受けとめることは絶対にいやだ!
 「大人」になって「しまい」、そしてあのように生き続けるならば、彼らに「僕の座っている場所」はない……かもしれない。
 けれども、それは、彼らの子供時代を否定するものなんかじゃない! そして!
 ……どうしても、僕は考える。彼らならどう生きていっているだろう、彼らなら、どうこの「今の世の中」に?
 D・Dのように? ウイリアムのように? ジャックとロナルドのように?
 ……大人になった彼らが、どんなふうにこの「今の世の中」で生きて行っていこうとするのか──僕はどうしても知りたかった。
 それを考えることで、自分の生きる助けにしていたんだ。
 僕はずっと知りたかった……
 今でもずっと……

わが細胞は三原順 その8

「次は何が起こるのか」「次はどうなるのか」という、「ストーリー性あふれる」「事件」に対しては、実は僕はあんまり関心はなく(^^;、ただ、登場人物たちの独白を読んでいるだけでもそれで十分でした。
 『もうなにも……』みたいな作品を、普通は「ストーリーがある作品」とは言わないらしいのです(^^;。『私の好みはライトグリーン』みたいなのもね。
 「ストーリーがない」なら「ない」で別にいいや、というのが僕の感じ方で(^^;。
 もし、三原順の作品が「ストーリーのない」ものなんだったら、それはつまり、ストーリーなんてあんまり値打ちのないものだということでしょう(^^;。三原順の作品には、そんなものよりもっともっとすばらしいものがあるということで。

わが細胞は三原順 その7

「僕には、何かに意味がないって考えることの方が、よほど難しいよ。。。それが何かはわからないけど、でも、きっと何が目的があるんだよ。。。」
 そうサーニンが言ったときのグレアムの表情の意味を考え続けているのですが……。

 今、三原順を「青臭い」という人たちは、なんでみんな、ああも「今読むと……」と強調するんだろう(笑)。ホントかなあ(笑)。
 いや、確かに技術的な面というか、絵柄というかは、あえて悪口めいたことを言えば、「奴らが消えた夜」まではかなり安定していなくて、「泥臭い」かもしれない。
 ときどき、「ド少女漫画(ソロモン談)」の絵が出てきて、僕なんかは、やめて許してと思ったりとするときも……(汗)。
 たとえば? 初め、エイダがグレアムを責めてて、「人殺し」と追いつめていた頃のこと。アンジーの、「うるせえ! 本当の人殺しを教えてやろうか!」とナイフを投げて見せようとしたシーンの後の、サーニンの「おまえなんかのために、アンジーを人殺しにしたくなかったんだ!」と言う、あの時の一コマ。
 あれ、サーニンの顔だけ描いてあればそれで十分なのに(と、僕は思ふ……汗)、バックに強調線がビカーッと放射されてるでしょ。あれは、なんかちと恥ずかしいかもしれない(汗)。

 でも、ドラマとか、語られる言葉を、青臭いとは思わない──「青臭いと思ったら、成長したってこと」みたいな意味の発言を聞いたことがあるけど、本当にそうかな?

 確かに、四人組の「視野」は今読んでいて必ずしも広いとは言えない。けれども、四人それぞれが別の「視野」を持っていて、それは、1つ1つはもしかしたら「青臭い」かもしれないけれど、全体としては決してそうではない。いや、十分に成熟して「赤い」という意味ではもちろんないのであって、というのは、だって、「あれ」はまだなにしろ「途中」の話なんだもの。
 「結論」が予め在って、それを提示しているタイプの小説やマンガなら、なにしろ「結論」なんだから、それが「青」くっちゃあ、とんでもないことなわけです。でも、「はみだしっ子」、というより三原順の作品世界は、決して「結論」を提示するマンガじゃないでしょう?(いや、これは無論、僕の個人的な思い方ですけど)
 模索の過程の発露であり、表出であるのだから、それの1つ1つをとって「青い」と言っても始まらないわけです。──また、それが本当に「青い」のかどうかも、僕には疑問なのですが。

 「だからといってそれに傷つき尻込みしてみせるために勤めてるわけじゃない!」
 というわけで、「現実はそううまく運ばないんだ」とか「世間を知らない幼稚な人間の甘えた理想だ」とか言われても、だからといってそれに尻込みしてみせる義務があるのかい、と言い返したくもなる(笑)。

 四人組の思索や論理の視野が狭く、「片手落ち」であることは、「ロングアゴー」まで読んでいくと、わりとこちら側にもわかってきます。グレアムやアンジーたちが誰かを──例えばジャックやロナルドを──『判断』したとしても、それは決して必ずしも『正確』な判断とは限らないこと。
 それは、実際問題、第1話で出ていたジャックのことをあの時のアンジーたちがどう思っていたかで既にわかっていたことでもあるのですが、さらに話が深まって、グレアムやアンジーの目に映るジャックやロナルドの背景、バックボーンに、実は「ロングアゴー」のような物語がある……でも、そんなバックボーンは知りようもないことだから、四人組は四人組の感じ方だけでジャックもロナルドもパムも見るしかない。

 これは実は、相当「思索」としては深いものを蔵する構造で、四人組それぞれが別口の「視野」を持っていてお互いにその思い込みや弱さを補完しあい、なおかつ、「ロングアゴー」のようなパートで、そこからさらに1つ離れたスタンスで「はみだしっ子」全体を止揚する。
 (「ルーとソロモン」は一応別のお話なのでおいておくとして)こんな止揚構造を持ったお話を「青臭い」の一言で片づけると、それじゃあ、山本周五郎も宮沢賢治もその一言で片づけてしまうんだろうな、と思ってしまう。それは、青臭くはないのかもしれないが、よっぽど心が貧しいと思うぞ。
 ああっ、なんか、噛みつくような文章になってしまいました(笑)。頭を冷やしてから出直してきましょう。

 また、異論は多々あるとは思うんですが(笑)、少なくとも僕自身にとっては「ストーリー」なんかはあえて言えば「どうでもよかった」。つまり、ドラマティックな「事件」という意味での、「ストーリー」ということですが。
 だから、これまたあえて言えば、なんにも「事件」など起きなくて、ただグレアムなりアンジーなりの心象風景が延々と描かれてるだけでも十分だった。これがつまり、別に「ストーリーなどなくてもよかった」という意味であります。決して三原順のストーリーがつまらんと言ってるのではない(笑)。

わが細胞は三原順 その6

どうして、そんなことが起きるなんて、空想することができただろう。。。三原順の新作を、もう読むことができないなんて、そんなときが、唐突に、いきなりやってくることがあるだなんて。。。

 そんなにも、三原順で私は身も骨も考え方も喋り方も出来上がってしまった。。。

 これは、誰かが望んだことではなく、自分が勝手にそうしてしまったことなのだけど。。。

 誰かに責任を負わせることのできるものではないのだけれど。。。

 けれど、勝手に思っていた。。。 三原順はずっと、新しい何かを作り続けて、見せ続けてくれるんだろうと。。。

 そうして、僕は、甘ったれて、いつでもひける、どこに座っていても、そう思って心地よく坐っていた場所を無くしてしまった。。。

 もう、グレアムやアンジーやサーニンは、大人になった姿を見せてくれることはしないし。。。。

 狼男の係累になっちまったD・D達がそれからどうしたのかも想像することしかできない。。。。

 だからせめて、きっと!

 ソロモンは幸せに天寿を全うしたんだろう!
 ピアもルーも他のみんなも楽しく幸せに暮らしたんだろう!

 ソロモン達にだけは、きっとあのあと運命の急変なんか起きなかったに違いない。

 どうかこの夢を覚まさずに。。。

 大好きだよ。。。

 お前の緑色が。。。

 大好きだよ。。。って。。。


。・゜゜・(>_<)・゜゜・

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