必殺仕事人2009第11話「仕事人死す」

というわけで、鬼の末路の末路。

長く待たされた上で、しかもかなりせっせとテレビ局が事前にネタバレを流してくれたために、各方面では評価が厳しかったようだ。
それを踏まえた上で、でも、やはりがんばったな、と思う。

見ていていちばん残念だったのは、「母親」役の演技の仕方であり、むしろこれは演出上の監督の責任かなとは思う。何でこの人はこんなオーバーアクトなんだ?、いかにも時代劇やってます、みたいな……と首を捻ってしまったのだ。

いかになんでも疑わしすぎるので、先が透けて見えすぎたのだ。
これは、次の第12話での奉行が後になるまでいったい悪の一味なのか真正の単なる善役なのか、判断できなかったのと対照的で、もったいなかったな、と思ってしまったものだ。
むしろ、視聴者にも、これは本当に母親なんだと思わせるように持っていっておいて、裏切り……という展開のほうが感情移入できただろう。あまりに見え見えすぎるので、源太の哀しみについて行き損ねてしまうのだ。

でも、一つの決着をしっかりつけたという点で、十分だ。

それにしても、仕事人の(情報役や元締めではなく、殺し実施部隊員の)途中退場というのは、からくり人シリーズを除いては、これまでなかったことではないか。(元締めはファースト仕事人ではころころ変わった。情報役等の殉死は「助け人」からあったことだし、そもそも「仕掛人」の千蔵は「仕掛けに来た死んだ男」でひょっとしてちゃんと死んでいるのではという説もある)
「からくり人」の時次郎も、あれはほとんど最終回だし、となると途中殉死は「新からくり人」の塩八がこれまで唯一だったことになり、今回の源太が第2号か。

次の12話のラストで小五郎を出し抜いたのが補充要員になるのか? 如月はどうした? もしも、まだ少女っぽい如月に殺しをさせるのはマズイというのなら、順之助の再現でよろしくないのだが……
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必殺仕事人2009第10話「鬼の末路」

来たか……こう来たか!

正直、舐めていた。もはや型に嵌った「仕事人の掟」、型に嵌った「苦悩」、型に嵌った「口先だけの」……。そんなものしか表出できないだろうと思っていた。キャストの演技力のことではなく、状況が。

「必殺仕事人」という名前に被せ込められた「正義の味方」のレッテルが、許さないだろうと。

「うらごろし」で、善も悪もなく、ただ当然のこととして白昼に殺戮を繰り広げた先生やおばさんや若のあと、仕置人である(あった)ことを忘れた中村主水が最後の人生を遂げようとした「必殺仕事人」、それがテーマを喪失し、あるいは生み出すことをやり切れず、そのまま方向も思考も捉えられない形で彷徨った……

「新」の名の付いた「新必殺仕事人」以降、口で悩みを泣き言を申し述べる仕事人たちは輩出したが、実際に絶望のどん底で懊悩する姿を見せたものはいなかった。ファースト「仕事人」で何度も泥にまみれた錺の秀も、「新」以降、スタイリッシュなヒーロー像を見せていく。秀が、中村主水が、その後どぶ泥に溺れたのは、「裏か表か」が唯一であり最終最後だった。

渡し人も、橋掛人も、仕切人も、始末人も、口上で罪を掟を“言い訳”として語る「説明役」であり、彼ら自身はあくまで「正義」を体現しうるに十分だった。だから、剣劇人たちは、そんな彼らを、そして代表者たる「仕事人」中村主水を「あんたは古い」と笑って葬ったのだ。

「激闘編」「激突!」と、仕事人は幾度も「ハードだぜ!」をやりたがったが、口でいくら言い繕おうと、「掟だ罪だ」とは一言も言わなかった「裏か表か」の前に意味を持たなかった。どんな重々しい言葉も、「ションベンしちゃった……」と絶望と虚無の中に惚けて笑う秀の姿に敵うわけがない。窶れ果てた主水の背中の方が、「金をもらわなきゃただの人殺しだぜ」と重々しく言う決まり文句より幾層倍も背負うべきものを見せているに違いない。

追いつめられ、格好の良い仕事の道具ではなく、転がっていた石をぶつけて撲殺して逃れる、この無様さは、確かに「新仕事人」以前のものだ。良いとか悪いとかではなく、ただ、有ったものが無くなっていた、そしてそれには有り続けてほしかった「無様さ」、なぜなら、それが「ヒーロー」と「人」を分けるものだから。「無様さ」。そうだ、人間は無様なものなのだから。
「新仕事人」以降、「裏か表か」一本をのぞいて、誰ひとり見せることが無くなっていた「無様さ」、それがまさか、この2009で顕されるとは。

今回は、この流れがなくとも相当映像的にも物語的にも本格的なものだなとは思っていた。ちょうど「仕事人IV」が再放送されていて、今の中途半端さの強い「2009」と比べると、「IV」はバラエティ化してルーティンワークではあるけれどちゃんと仕事人たちに絡みがあり、物語の結構は整っていたんだなと思ったりしていたのだが、今回をもって、評価的には「2009」は一気に上を行った。少なくとも、挑む姿勢があったことをちゃんと証明して見せたと思う。やるつもり……があったのだなと。

次回、この幕引きをどうするか、それが肝心なところではあるだろうが、そこで不出来が生じたとしても、それを嗤うことはしないでおこうと思う。不出来、失敗と言えば仕事屋だってうらごろしだって失敗だったのだ、風雲竜虎編だって尻窄みだったのだ、仕掛人だって仕置人だって……

やるつもりがあったのだなと。そこに感謝したいと思う、それだけだ。

必殺仕事人2009第7話「金が仇」

前回の第6話「夫殺し」もイエローライオン西村和彦と奥さんのドラマが見甲斐を造り上げていたが、今回もなかなか良い感じだったと思う。
被害者と加害者間にドラマがあり、加害者にはキャラクターがあった。
被害者と仕事人との間に感情の行き来があり、のみならず激情があった。
これからもこうした形のツルギー感があれば、「仕事人シリーズ」としては風雲竜虎編や激闘編と同程度かそれ以上にまでいける目もあるのではないか?

強いて注文したいところとしては、せっかくメイン被害者と絡んできた涼次がちゃんとメイン加害者を仕置きする流れまで進み、盛りあがったあと、どーでもよろしい番頭の片付け仕事が最後にトリに来てしまうのはもったいなかったか。渡辺小五郎の「今週の一言」がないのは今回はすばらしい(笑)のだから、涼次の仕置を盛り上がりのトリとして、そのまま涼次のエンディング映像でいいのでは?

エンディングの後の渡辺家コントは、まあ、エンディングの一部として存在するものとして、許容することに決めるとして(笑)。

「新仕置人」あたりでも、己代松がメイン加害者を仕置きしたあと、のんびりと主水が雑魚をかたす流れの回もあったけれど、そのあと己代松エンディングがドラマとして続いていたので、さほど残念感はなかったように記憶している。この2009シリーズでは、小五郎の仕事のあと即座にエンディングに入るのでそうしたカバーが難しいか。

必殺仕事人2009第2話「厚顔無恥」

江戸の河原に辻斬りが現われ、街は騒然となる。南町奉行所では、江戸随一と言われる剣術師範の笠原監物(目黒祐樹)と息子・太平(浜田学)を招いて、指南を受けることになった。
一方、源太(大倉忠義)は、往来で若侍たちに絡まれたところを、佐藤数馬(忍成修吾)という若者に助けられる。彼は笠原の道場で剣の腕を磨く剣士であった。数馬の気持ちの良い人柄と、貧しさに負けずに息子を支える母・みち(賀来千香子)の優しさに触れ、心の和む源太。
そんな矢先、数馬が剣の腕を認められて、太平の付け人になることが決まった。息子の夢を叶えるため、汗と埃にまみれて働くみちの力になろうと、源太は花御殿のお菊(和久井映見)に相談して、経師屋の涼次(松岡昌宏)の手伝い仕事を紹介した。
ところが、太平の付け人となった数馬が知らされたのは、太平とその付け人・加治田文蔵(尾上松也)と松村金八(仲野毅)が辻斬りの正体だという事実だった。


とりあえず、あの第1話と比べると、ちゃんと首尾結構は整い、前回書いていた幾つもの部分は改善された……ようではあるのだが、考えてみるまでもなく、漫然と見ているだけで分かってしまうことは、これはもうほんとに「仕事人フォーマット」に忠実に作ってあるんだな、ということなのだ。

だから、第1話のような大失敗たる破綻も来していない代わりに、なんの冒険もサプライズもなかった。……してみるとあれか?第1話はアレはアレで大失敗だったけれど大冒険ではあったのか?(だからといってやっぱり褒め称えることはできないのだけれども)

第2話にして「頼み人はオレだ」が出てきてしまい、さらに端金の仕事が出てきてしまった。そして、仕事の道具を整備したり仕事に赴く彼らの映像と共にあまりにもお馴染みの出陣のテーマが流れてしまい……

なかったのは「しっかりしろい」「このお金で仕事人に……」のシーンだけで、あとはもう「仕事人IV」「V」辺りの脚本をそのまま流用したのだとしてもおかしくないというか、別に涼次たちでなくて秀や勇次でも政や竜でも、登場する仕事人のメンツが誰でも全く何の変化もないドラマだっただろうと思われる、そんな話だったのだ……

なんのためにわざわざ「新生」させたのだろう。これなら、そうだ、これなら再放送でいい。なんの新しいものもないのなら、新生でなくていい。新生でないんだから、名前だけの新生でなんかなくていい。

そして、主水の存在はいったいなんなのだろう。中村主水が居る必要は何一つ無かった。
もちろん、主水が存在しなければ、渡辺小五郎とこう・ふくの家族はたちまち「あれは中村主水とせん・りつのパクリだ」と叩きまくられることだろう。中村主水の存在そのものが、その非難を最初から打ち消してくれている。そういう効能はあるだろう。だが、2つの家族の対照という観点の面白さ自体がない(なにしろ、せん・りつが出ない)以上、今の主水には存在の意味がない。

この第2話で唯一よかったのは、目黒祐樹演じる道場主だ。単純な悪役ではなく、不良息子を諫め懲らす役割を果たしながら、けれどその息子のためには平気で悪を為す。被害者と加害者が同じ基準―息子のため―ということで立場を逆とする。言い訳というよりも信念のように言葉を吐き、端的に「死ね」と言い捨てる。ここの演技はさすが松平聖二郎だった。

渡辺小五郎にセコ斬りされて「卑怯な……!」と咎めるところも役柄から生きたセリフだったと思う。ここで小五郎の返す言葉は、しかし、ありふれたものでしかなく、残念だった。ここだけは第1話の方がよかった点だ。

せん・りつに加えて、今回は谷村美月の如月が不登場。せん・りつはともかく、まだキャラクターも役割も何もかも確立していない如月は、きっちり登板させた方がよかったのではないか。

必殺仕事人2009第1話「一刀両断」

江戸の街では、夜中に出歩く若い娘が陵辱されて殺される事件が立て続けに起こっていた。今日も、お佐代(町田マリー)という娘が死体で見つかった。悲しみに暮れる父親の仁吉(山田辰夫)と妹のお絹(小林涼子)。
江戸中の女たちは皆、色男ばかりが揃っている夜遊び場・美景庵に熱狂していたが、美景庵は、店に来た若い女を陰で男たちに斡旋して儲けた上、女たちを消すという非道な商売をしていた。お佐代を殺したのも、美景庵の信次と名乗る男(中村俊介)だった。
仁吉は、娘の仇を討ってくれと、三番筋で仕事を依頼する。だが、陰で聞いていた花御殿のお菊(和久井映見)は、それが世間体を気にしたゆえの依頼だと知ると、きっぱりと断った。しかし、何か裏があるとにらんだお菊が、源太(大倉忠義)に出前がてらに美景庵を探らせると、その背後には廻船問屋・野崎吉衛門(田宮五郎)がいるとわかる。陰では違法の賭場も開いていると言われる人物だ。
その頃、姉の仇である信次を探そうと美景庵にやってきたお絹は、店の前で直助という男に出会う。彼が実は姉を殺した人物・信次であることも知らずに、お絹は直助と親しくなっていく。


薄い……

まだ全然全然全然ドラマらしい濃厚なものが出てこないまま時間だけがすぎていって、「え」と思うほどのあっさり感でアジトで金の分配が始まってしまい、しかもそこからそのまま仕事に入るらしいと分かった瞬間、思わず口にしてしまった……

シンプルなのではなく浅い、と巳代松さんが新春スペシャルについて感想を書いてらしたと思うのだが、なんというか、シンプルなのではなくて薄い。

なんでこんなに薄いのかと思えば、各仕事人に割り当てられたシーンとセリフがちょっぴりずつ、しかもお互いの絡みはアジトに集まるまで基本的に無し、しかも各仕事人と事件の中心人物たちとの関わりの方も無し、単にアジトで金をもらって仕事をするだけ。

それなら、事件とそこのドラマが濃厚かといえば、こちらも紋切り型で新鮮みは無し。

せっかく玉櫛に代わって登場した如月が事件の大元に偶然入りこんでいるのに、そこで何かを見聞きするということもなく、ただのコメディリリーフ。そしてこれが彼女のキャラクターを立たせるエピソードになっているわけでもない。

頼み人は頼み人で、最初の頼みは本当に「そんなことで人殺しを頼むなよ」というもので、これを断ったお菊はよしとして、以降の頼み人の行動は支離滅裂、しかも不死身かと思うほどの生命力を見せて、仕事の依頼をしたのち店にも戻る、これなら娘連続暴行事件はともかく殺人の生き証人として奉行所に行きなさい。あなたが事件の大元に乗りこんだことで、もう十分世間体は悪くなってますから。

スペシャルで権藤が「食い逃げ」と断定した(本当にそれを企んでいた――或いは会話していた――としても実際にはまだ実行したわけでもない)2人の男を斬り殺したときもそうだったのだが、今回も公衆の面前で、人質になった店のスタッフを用心棒が殺しているのだが、こんなことがまかり通るのが江戸時代だと脚本家は思っているのだろうか。

仕事がいっせいには終わらないで、小五郎の仕事が一呼吸置いたのは別に悪くない。仕事人ナンバーシリーズに慣れた人たちには違和感があるかもしれないが、別に一晩で仕事を完遂しなければならないわけでもなく、煙詰めの例もある。今回のドラマの眼目として在るはずの「本来最も仇と思うはずの相手を、それと思わずにかばい立ててしまう娘」の悲劇を抽出しようとするなら、これはこれでよかっただろう。
また、主水の仕事時の一言が無意味なものであることが多いのに小五郎の今回のセリフは悪くはなかった。「大事なことだけ言わなかったな」「嘘つきめ」これが仕事の理由なのだ。これは悪くない。最後の最後まで、実際この男がどこまでのレベルで改心或いは反省或いは後悔しているのか、妹娘をどう思っているのか、明かされていない。自分が殺人者であることを隠していたとしても、これで妹娘を誑かしてさらに利用しようとしていたならともかく、単に逃げ隠れしようとしているだけなら情状酌量の余地はあったかもしれない。だが、小五郎は「嘘つきめ」と断罪する。それはそれでいいのだ。

しかし、姉も父も失い、今後の行く末がどうなっていくのか分からない妹娘、そして彼女の心情について、そのまま放置されてしまった。結局、だから「薄い」ままになってしまったのだ。

脚本家がいけないのか?
監督がいけないのか?

今回については、仕事人第3話「仕事人危うし!あばくのは誰か?」と同じく第83話「沈め技花嫁偽装返し突き」の2本を先行奨励作品として挙げたい。脚本家と監督はこの2本を見て猛省していただきたい。

これが第1話かあ……
これを見て、次週からも続けて見たいと思ってくれた初見の人なんて、いるかなあ……いないだろうなあ……

あ、涼次はこの回もよかった。アジトで、みんな「難しい顔をして金を取るだけ」のところ、彼だけはちゃんと遊んでいた。彼はいい。

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