古畑任三郎「VSのり子・ケンドール(鈴木保奈美) ニューヨークでの出来事」

 犯人の述懐を聴きながら、それに基づいて推理する、なかなか類例を見ないタイプの安楽椅子探偵+VSもの。
 そしてまた、よくよく考えれば、今更ながらこのエピソードは倒叙ものではないのだ。
 視聴者は最初から「のり子・ケンドールが犯人」というつもりで観始めているし、ついつい、いつもの倒叙ミステリとしての『古畑任三郎』の気分で観てしまうが、実は全く倒叙ミステリの要件は満たしていない。実は、この感想文を書き始めるまで全然思ってもいなかったのだ、このエピソードが『「古畑任三郎」最初で最後の非倒叙』だったとは。
 「今、甦る死」すら倒叙の要件を満たしているのだから、こういう言い方も可能なんじゃないかと思って、わざと断定的に言ってみたのだが、さて、実際はどうかな?

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古畑任三郎「VS若林仁(風間杜夫) 間違えられた男(間違われた男)」

 このエピソードは、数ある「古畑任三郎」の中でもユニークさの最たるもので、とんでもないシチュエーション・コメディになっている。
 御手洗潔や金田一耕助の短編になら存在できそうな感じか。探偵役のキャラクターに成立の可否が左右されるだろうから、神津恭介や星影龍三ではこのコメディ・ミステリは成り立たない。
 それにしてもよくまあ、こんな一篇を実在させてしまえたものだ。2時間枠ではさすがに無理だろうから、本家コロンボにも当然こんなトンでもない話はない。
 「古畑任三郎」が1時間フォーマットのシリーズだったのを感謝すべきだろう。実に楽しめる、面白い一篇がこうして存在できたのだから。


古畑任三郎「VS南大門昌男(山城新伍) 魔術師の選択」

 魔術師対名探偵というのは、かなり本格ミステリとしても魅力的なプロットで、最近ではジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライムシリーズでも、そのまま「魔術師」というタイトルで、魔術師と呼ばれた強敵と探偵が対決していた。
 倒叙の映像ミステリで本家たる『刑事コロンボ』でも、コロンボ警部は二度ばかり魔術師と戦った。一度は旧シリーズの「魔術師の幻想」で、二度目は新シリーズの第一話目たる「汚れた超能力(超魔術への招待・殺しのマジック)」で。
 魔術師が犯罪者として優れているのは、トリックという技を持ち、それを駆使できる術を持ち、相手の心理を読んで、まんまと騙しおおせるなど、数々のいわば『特殊能力』を持ち合わせた存在であるからだろう。現実のマジシャンがどうかはともかく、フィクションの世界では魔術師は名犯罪者としての才能を持った逸材なのだ。

 今回古畑と戦ったマジシャンが南大門昌男という名前なのは、これもマニアックな遊びではないかと思う。本格ミステリの書き手でもあり、亜愛一郎やヨギ・ガンジー、曽我佳城などの印象的な名探偵を生み出した作家泡坂妻夫の本名が厚川昌男であり、厚川昌男はマジシャンの顔を持っているからだ。名探偵曽我佳城もマジシャンである。(この泡坂さんは、つい先日亡くなってしまった。)
 だが、南大門昌男はあまりエンタテイナーとしてお客を楽しませているふうではない。苦虫を噛み潰した顔が記憶に残るくらいだ。マジシャンズ・セレクトの実際を観られたのは楽しかったが……

 隠し味として、南大門を演じたことで山城新伍は古畑とコロンボの両方と戦った唯一の人物になった、という雑学がある。
 コロンボの「ルーサン警部の犯罪」で犯人を演じたウィリアム・シャトナーの吹替を担当したのが山城新伍だったのである。
 どうせなら、山城新伍にはこうした――ああ、でも俳優が犯人というのは小林稔侍でもうやってたもんなー。無念。

  

古畑任三郎「VS千堂謙吉(唐沢寿明) vsクイズ王」

数学者、敏腕弁護士、ゲームの達人……こうした、単に社会的な地位が高いだけでなく、知的頭脳的に強敵難敵と想われる相手と対峙した古畑が今回相手に迎えたのは、クイズ王。要は雑学博士なので、さほど古畑と拮抗する敵という感じはしない。
 このエピソードで印象深いのは、「えっ、そこにいたの?」という映像ミステリならではの部分になる。
 「サスペリア2」のアレや「安楽椅子探偵登場」のソレですね。
 尤も、この「VSクイズ王」では、その場面を見直してみても、やはり一目であっと判るものではなかったのが残念。せっかくの挑戦だったのにね。

  

古畑任三郎「VS乾研一郎(草刈正雄)」「VS林功夫(木村拓哉)」

古畑任三郎VS乾研一郎(草刈正雄)「ゲームの達人」

 今回の相手方は草刈正雄。個人的には、名前こそ有名だが、あまり馴染みのない俳優さんだった。
 観始めてみると、なんだか古畑を2枚目にブラッシュアップしたような感じだ。キャラクター的には、コロンボの典型的な相手役に近い気がする。
 そして、そんな彼は「ゲームの達人」だという。なかなかの『VS』が楽しめそうな感じだ。
 だが、観終わってみると、もしかしたら、このエピソードはちょっと尺が足りなかったかもしれない。エンディングに至って、幾許かの物足りなさが残ってしまうのだ。
 舞台的には、1時間(50分弱)完結に適しているのだが……


古畑任三郎VS林功夫(木村拓哉)「赤か青か」

VSキムタク。
 歌番組も含めたバラエティ番組を全然に近く観ていないので、SMAPだキムタクだといっても名前くらいしか知らなかった。
 なるほど、人気が高いのも解る。どうしても西順之助の悪夢が思い出されて、アイドルタレントの演技を疑いのジト目で見てしまうのだが、余計なお世話だった。
 キムタクはやがて、「VSSMAP」で今度はキムタク本人としても古畑と戦うことになる。だから見方に拠ってはその前哨戦のようなエピソードだが、古畑が唯一ラストシーンで犯人に怒りをぶつけた話としてこそ記憶に残るだろう。
 つい、という感じに林功夫を殴り、連行させたあと、自分の怒りを道化にしてしまうように手をブラブラさせる古畑の姿は、彼がふだん意識的に自分のキャラクターを演じているのだろうな、と感じさせる。ふだんの古畑のどこまでが韜晦なのだろうか……
 今泉救出作戦がメインな感じで、殺人のほうは背景化しているせいか、ミステリ的にはあまり記憶が残っていない(^^;)

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