森絵都「リズム」「ゴールド・フィッシュ」

優しくせつなくたくましく素敵な大人に近づいてゆくステキな女の子たちへ

ガソリンスタンドで働きながらロックバンドで歌をうたう、いとこの真ちゃん。そんなハデな真ちゃんに、まゆをひそめる人もいるけれど……。小さいころから大すきだった真ちゃんの家族が、ばらばらになってしまうかもしれないと知った、さゆきは……。(リズム)






透明な時代 最後のゆらめきの中で自分の夢をさがしはじめたかがやく女の子たちへ

新宿へいってしまった真ちゃん、いつのまにか大人びてきたテツ、そして高校受験をひかえ、ゆれるさゆき。
3人の<リズム>のゆくえは――。
好評、『リズム』の続編。(ゴールド・フィッシュ)






前作「リズム」を最初に読んだときは、さほどの感興も湧かなかった。。。
 ただ。。。
 メチャクチャになりそうなときは。。。自分のリズムを。。。それだけは、心のどこかに残っていた。。。

 そして。。。
 この「ゴールド・フィッシュ」というタイトルは、実は金魚のことでしかなくて、金魚そのものはテーマにそんなに関わっているようでもないのだけれど。。。

 でも、実は人間も金魚と変わらないちいちゃなもので、アマゾン川という人生に出ていけば、という比喩なんだろうとだけは思う。

 ただ、そういう根本的なものはおいておいて。。。

“泣きたいくらいに強く、あたしは思った。
 リズムを……、
 あたしのリズムを、取りもどさなくては。”

 この部分にさしかかったとき、初めて気づいた。それまでは気がつかなかった。
 そうだ、さゆきはリズムを失っていた。

 リズムを。。。

 リズムを取りもどしたい。。。

 リズムを。。。取りもどさなくては。。。

 きっと、死んでしまうんだろうと、そんなふうにさえ、思っている。。。


↓合本
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森絵都「いつかパラソルの下で」

待ちに待った、森絵都が描く大人の世界
柏原野々は雑貨店で働く28歳の独身女性。厳格な父の教育に嫌気がさし、成人を機に家を飛び出した。そんな父も死に49日の法要を迎えようとしていた頃、生前父と関係があったという女性から連絡が入る……。


 森絵都の「児童小説」は文句なく面白いものばかりだった。読み手は「児童」でなくてもよい。全年齢向けに対応できていた。
 前回、特に「児童向け」ではなく、むしろアダルト向けを謳っていた『永遠の出口』を読んだ時は、今一つ面白みを掴み損ねた気がした。また読み返せば違う可能性が山ほどあるので再読棚には入っている。ただそんなだったので、今回の『いつかパラソルの下で』も、どうかなあ? という不安感はあった。読書するのに不安感なんておかしなものだけれども。

 冒頭がいきなりセックス・シーンだったので、「大人向け」だとこうなるというのはいかがなものか、などと思ってしまった。性の描写がコバルト文庫では新鮮だった田中雅美が、アダルト小説では凡百の官能小説と何ら変わるところがなく魅力を失っていた、ああいう哀しいのはいやだなあなどと思いながら読んでいった。

 杞憂というのはこういうものだねというか、あるいは、全然いつもの森絵都と変わらなくてどうなのかなというか、でもやっぱり、森絵都の作品で、森絵都の主人公たちと会えて、よかったなというのが一番正直なところか。
 いつもの森絵都の主人公が、そのまま大人になっている。そんな感じで、ぐいぐい牽引されて読んでいけた。
 なんとなく川原泉の部分もあるような……そういう、「生きる」のはいろいろつらいけど、まあ、ムリはしないでいいけど、とりあえず楽しめ方もいろいろあるしという……どこにもそんなふうには書かれてなどいないのだが、いつの間にか、自分の中では――。

いつかパラソルの下で

森絵都「宇宙のみなしご」

真夜中の屋根のぼりは、陽子・リン姉弟のとっておきの秘密の遊びだった。やがて思いがけない仲間がくわわって…。あなたと手をつなぐ人がきっと、いる。

 同じ作者なのだから当たり前なのだけれど、『つきのふね』に共通するものを感じる。。。
 「わたし、仮の人たちとは遊ばない」。いつまでも、白馬の王子様を求めてしまうのは、仮の人だ。そして、けれど、陽子も悲しみを知らない辛さを知らない悩みを知らない強い人間なのではない。

 学校というのは不思議な場所だったのかもしれないと今さらやはり感じる。学校についてまったくに近く何も思い入れを持たない私にとってさえも。

 『つきのふね』やこれのような話を読んで、涙や癒しを感じるとすれば、それは、「自分だけがつらいのではなかった」という感覚もしくは「わかってくれる」という感覚なのかもしれない。
 本当は、誰でもつらい。当たり前のことかもしれないが、生きていれば、どうしてもそんなふうに思えない。自分だけが理不尽につらく、苦しいような気がしてならない。世間の人々はどうしてこんなに能天気に生きているのだろう。そして自分だけが。
 それは自分への憐愍でもあるのだけれど。

 どんなに年を重ねても、たぶん、ご隠居さんになったあとでも、人間はいつもそうだ。

 だから、みなしごの生き残り方はマスターしておかないといけない。
 たぶん。。。


森絵都「宇宙のみなしご」


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