若竹七海「依頼人は死んだ」「悪いうさぎ」

「依頼人は死んだ」
 「プレゼント」に続く、葉村晶シリーズの第2作。
 女探偵・葉村晶のもとに持ちこまれる様々な事件。例えば、市役所から突然送られてきたガンの通知…。その真相は、いつも切なく、少しこわい。あざやかなどんでん返しを見破れますか? 連作ミステリー。

 この連作「依頼人は死んだ」は、実は第2作目なので、その辺りが明記されていないのは不親切至極(^^;)。
 前作を読んでいないとネタバレしてたりちょっと困る部分も多いので。
 今回のこれは、「アヴェ・マリア」や「女探偵の夏休み」の叙述トリックに気持ちよく騙されました。
 しかし。。。ラストの書き下ろしで収束された途端の、このディクスン・カー「火刑法廷」というか高木彬光・墨野隴人シリーズ「大東京四谷怪談」というかは。。。(^^;)
 一体、これでは果たして第三作目があるのか、それとも、こうしてホラーとして終了するのか不明。それがまた恐ろしいのかもしれないけれど。()
 『八月の降霊会』などのホラーも書いている作家だからなあ。でも、よもや。。。
 前作が完全なミステリだっただけに、これはびっくりしましたー。

「悪いうさぎ」
 少女たちはどこに消えたのか?
 家出中の女子高生ミチルを連れ戻す仕事を引き受けた私は、彼女の周辺に姿を消した少女が複数いることを知る。好評葉村晶シリーズ。

 葉村晶シリーズの3作目。
 前作のホラー・ラストを引きずることなく、お話はちゃんと(?)女探偵ミステリで進んでいく。
 それにしても。。。
 これはひどい、ひどすぎる、と感じてしまう。お話の出来がひどいのではなくて、このお話の「悪」について。これを絵空事で現実離れしているというのは、もはや当たらないはずで。もっとひどいことも当然ありうる。それでもやはり、読んでいて、ひどい、ひどすぎる、と感じる。
 『必殺仕置人』第3話「はみだし者に情けなし」にも同趣向の非道が行われていたが、これは時代劇というオブラートがあった。『必殺仕切人』第2話辺りになると、描かれ方がそれこそ絵空事っぽくなっていたので、憤りを感じるには至らない。
 大体私は本岡家なので、あまり小説やら何やらの中の悪に対して憤ったりはしない方なのだ。例外はある。今回はその数少ない例外の1つだったらしい。
 それが若竹七海の「筆力」のためなのか、それ以外に理由のあることなのかは判らないが。。。

 
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若竹七海、他「五十円玉二十枚の謎」

店に入るなり男は一散にレジを目指し、五十円玉二十枚を千円札に両替してくれと言う。渡された札を奪うように受け取ると慌てて出て行く。本屋のアルバイト嬢だった若竹七海に忘られぬ印象を残した、土曜日の珍客。爾来、彼女が友人知人にこの謎めいた両替男の話題を提供するたび談論風発、百家争鳴すれど決定打は出ないまま。…という紆余曲折を経て成立した、世にも珍しい競作アンソロジー。
 若竹七海提出のリドル・ストーリーにプロアマ十三人が果敢に挑んだ。
 解答者/法月綸太郎、依井貴裕、倉知淳、高尾源三郎、谷英樹、矢多真沙香、榊京助、剣持鷹士、有栖川有栖、笠原卓、阿部陽一、黒崎緑、いしいひさいち



。。。を、数年ぶりだと思うのだけど、再読して、とっても、やっぱり、面白い(笑)

 と、いきなり書いても知らない人にとっては何の事やら分からないですね(^^;)。

 今を去ること数年前、現・ミステリ作家の若竹七海がまだ木下藤吉郎だった頃(うそ)、まだ学生さんで、本屋さんでバイトさんなどをしていた頃、不思議な出来事に遭遇した。
 土曜日の夕方、1人の男が大変に急いで店に入ってきて、まっすぐレジにやってくると、手に握りしめてきた硬貨をずらりと現・若竹七海の前に並べ、
 「千円札と両替してください」
 というような意味のことを言ったのだと。
 硬貨は五十円玉で、20枚ちょうどあった。
 現・若竹七海がそれを数えている間、男は何となくいらいらした様子で待っていて、彼女が千円札を渡すとほとんどひったくるようにそれを受け取り、体を自動ドアにぶつけながら礼も言わずに通りへ消えたのだという。
 それから男は、たびたび、それも土曜日のたびにレジにやってきて、五十円玉20枚を千円札と両替するように言い、両替が終わるとさっさと姿を消した。
 男は中年で、パッとしない顔つき体つき、身なりをしていた。あまり本屋には縁がなさそうなタイプで、事実、彼は一度も本を買ったりしなかった。その男がなぜ、どうして土曜の夕方ごとに、五十円玉を千円札と両替してもらいに来るのか。
 。。。

 この、現・若竹七海の体験談たる「謎」を推理する、という試みがこの「五十円玉20枚の謎」で、何人かのプロ・ミステリ作家が解答を寄せ、また、読者も解答をミステリ小説形式で応募した。
 現・倉知淳も、何を隠そう、この解答を応募した一読者であり、この応募作品で名探偵・猫丸先輩もデビューしたのであります。

 真実は不明でありますが、やはり魅力的な解答を考え出す能力が(妥当な解答を、ではなくって)ミステリ作家には不可欠だよなー、とか思う私なのでありました。。。

競作五十円玉二十枚の謎

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