ダニエル・キイス「心の鏡」

人間への愛と心の不思議さをあたたかな筆致で描きつづけ、世界中の人々を魅了する作家、ダニエル・キイス。代表的な長篇『アルジャーノンに花束を』の原型である中篇版のほか、奇妙な能力をもつ少年マロと弁護士デニスの運命の出会いを描く表題作「心の鏡」、万能コンピュータがひきおこす騒動をユーモラスに描いた「エルモにおまかせ」など、七篇を収録。キイスの魅力をあますところなく伝える、日本版オリジナル作品集。

目次

エルモにおまかせ
限りなき慈悲
ロウエル教授の生活と意見
アルジャーノンに花束を
心の鏡
呪縛
ママ人形



「私はただみんなによく思われたかっただけなんだ」
 身に染みついたものはなかなか取れない。。。

 それから、表題作のラストシーン、「暗黒のなかで……」とは、一体何を暗示しているんだろう。
 暗黒になってしまっても、それでも「よし」と思えているのか、それとも、結局そういう結果になっちゃったじゃないか。。。なのか。。。
 もちろん、前者なんだと思うけれども、また同時に、代償のことを示してもいるのだろう、とも思う。。。

 そして、不思議なことに、「ママ人形」のあのべたなラストでも泣けてきてしまったのはどうしてだろう。

心の鏡
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ダニエル・キイス「アルジャーノンに花束を」

チャーリィは陽気な32歳。生まれながらの知的障害者だ。パン屋で働き、夜学に通う。そんな彼に「頭をよくしてあげよう」と科学者からの突然の申し出があった。未知の、危険な実験の被験者になるのだ。しかし、チャーリィは喜んで手術のため入院する。同じ実験を、白ネズミのアルジャーノンも受けていた。やがてIQが185にまで高まり、超天才となったチャーリィは自我が強まり、知識欲も旺盛になり、人々を驚かす。だが、驚くべき天才ネズミとなったアルジャーノンは、急速に知能が後退していく。はたして、チャーリィは?―SFの傑作であると共に、読者を深い感動に包み込む不朽の長編小説。

 これが「スペクトルマン」に流用されて、怪物ノーマンのエピソードにされたことは一部にはよく知られている。けれど、全くの別物だろう。。。

 原型の中編「まごころを君に」では、
「おれはどうしてまたバカになったかわからないけどきっとおれが一生けんめいやらなかったのがいけなかったんだろう」
 となっているところ、
 ここが長編では、
 「きっとぼくがいしょけんめいやらなかったからかもしれない」
 になっていて、この「だろう」と「かもしれない」の違い1つで感じるものが違ったらしい。。。
 「かもしれない」は弱い。逃げがある。そんな感じ。
 「だろう」はほぼ断定。つまり、中編でのチャーリーのほうが、潔いのだ。
 11月16日のラストのところで泣けてくるのは、
 「どうか……どうか……読み方やかき方を忘れないよおにしてください……」
 と痛切に書くその中ですでに「読む」という字が手ヘンに売るという字になってしまっている。。。そのつらさもあるかもしれない(ああ、私も「かもしれない」なんて使っているよ。。。)
 アリスとは二度ともう会わないのだろうか。

 チャーリーは十分一生懸命だったと思うんですよね。。。
 私が胸打たれずにいられないのは、「きっとおれがいけなかったんだろう」と。。。他人のせいにするでもなく自然に感じていられる本能的な部分ですね。。。
 「人を責めまい」と佐々木丸美「忘れな草」の葵は覚悟しなければならなかったけれど、チャーリーはそれを当然のようにでき続けていた。それがうらやましいし、そしてまた切ないのでした。。。

アルジャーノンに花束を( 著者: ダニエル・キイス / 小尾芙佐 | 出版社: 早川書房 )

ダニエル・キイス「まごころを君に」

「アルジャーノンに花束を」の原型短編。

 長編の『アルジャーノンに花束を』では、「どうか神様。。。」のところで涙したけれど、短編集「心の鏡」に収録された原型の短編『まごころを君に』のほうでは、訳の違いのせいもあるのか、そこではあまり感じることがなくて、

 「おれはどうしてまたバカになったかわからないけどきっとおれが一生けんめいやらなかったのがいけなかったんだろう」

 のところが胸に迫ってきた。。。

 長編の方での訳の方が「じん」と来るなあ。。。と思いながら読んでいって。
 長編ではすごいインパクトをおぼえた部分をさほどのこともなく通り過ぎてしまう。。。
 のに。。。
 ラストシーンの直前で、泣けてきてしまったんだよね。。。
 これは絶対優越感とかじゃない。。。
 感動でもない。
 いったいなんなのか、わからない。


ダニエル・キイス「心の鏡」


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