太田忠司「暗闇への祈り」

満たされないOL生活から私立探偵に転職した涼子はある日、車椅子に乗った依頼人・東山史子を訪ねた。彼女の婚約者が、突然失踪してしまったのだ。早速涼子は聞き込みを始めるが、婚約者の青木達也は愚直なまでの真面目な素顔を持つ男で、失踪の理由がわからない。
わずかな手がかりをもとに涼子は横浜へ向かう。そして彼の消息を知るらしい浦野小夜という主婦を探し出すが、彼女は何かに脅えていた。そんな中、近くの川で若い男の死体が発見されて…。
一人の青年の失踪事件の裏に隠された、意外な真実とは。人の心の奥底に潜む暗闇と対峙しながら成長を遂げてゆく涼子の姿を描く、傑作ヒューマン・ミステリー。


これは、太田忠司さんの「藤森涼子シリーズ」の2冊目になる。このシリーズは私立探偵になった藤森涼子を主人公とした中編連作で、「歪んだ素描」に始まり、「暗闇への祈り」「遊戯の終わり」「追憶の猫」「カッサンドラの微笑」と続いてきている。

ひとつ、知らずにいない方がいいのは、この藤森涼子は太田さんの別シリーズにもちょこちょこ出て来ているということだ。私の知っている限りでは、「刑事失格」「Jの少女たち」といった阿南シリーズ、高校生甘栗晃を主人公にした「甘栗と金貨とエルム」に登場している。
ふだんの涼子本人のシリーズは自身の視点なので、阿南や甘栗視点の作品に出て来ている涼子は、ずいぶん違った人物に感じられたりする……逆に言えば、それは「外から観た人間」と「その内面」とはやはり「窓のとおく」なのだろうということ、それに尽きるのかもしれない。

特にこの記事で2冊めの「暗闇への祈り」を取りあげたのは、最後の最後、涼子の祈りが、何故それをせずにはいられなかったのか、よく解るから……

太田忠司さんの作品群に対して、それほど追って読む読者ではない(狩野俊介シリーズも読まなくなっている)。けれど、この藤森涼子と、そして阿南については、傍観者としてでしかないけれど一緒に生きていた方が、まだ少しは自分にとっていいかもしれない、そんなふうに思っている。

     
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