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新必殺仕事人最終話「主水仕事仕舞いする」

ここでの主水が腑抜けてしまったとの意見は夙に耳にするわけだし、確かにそんな感じが強い。が、主水はこの最終回でいきなり腑抜けになったわけではなく、この「新仕事人」においては、かなり最初のうちから仲間内で気を許しきってしまっている風が見られていた。

最初のうちこそ、おりく・勇次に対しては警戒心を見せていたが、それも秀や加代との仲間感覚が強かった故だろう。秀も加代も、「仕事人」時代から比べてもシビアさをなくし、素を出した付き合いを主水との間に築いてしまった観がある。
それはまるで……仕置人時代のように。

そして、いつしか勇次もまた……

だから、この最終回で主水が腑抜けて見えるのは当然なのだ。親密になってしまった仲間達と、チームに「死」を見るほどの危機がない状態で「足を洗う」ことが可能な解散……

主水にとっては……理想的なほどの安逸の中にあった「新仕事人」時代ではなかったか。

だから……勇次は別れ際に主水に宣告する。「しあわせにな」。
「八丁堀はいびりやがるし、秀の野郎は冷てえしよ」と加代に愚痴っていた勇次の姿はなくなっている。

もし、この「新仕事人」を、この三味線屋勇次のこうした成長(?)を主軸にした物語にできていたなら、それはまた魅力的なものになっていたのかもしれない。

個人的には、第1話からこの最終話まで変わることのなかった勇次のやたら芝居がかった喋り方は馴染めないものだったのだが……そして、いつしか勇次の得意文句になった「金を取らなきゃただの人殺しだぜ」にも辟易では、あるのだが……

秀の物語がここでいったん終わり、引き続きは「裏か表か」だったなら、どんなに秀にとってもよかったことただろう。そのキャラクターにとってということでしかないのだが。
こののち、秀はこの最終回での思いはどこへやら、知らぬ顔の半兵衛と組んで何の苦悩もなく仕事をしている姿を見せるのだ……
自分自身の決断をすべて安直に否定したあの復活は、そして、その後「裏か表か」までの秀の存在意義を全て失わせていたと個人的には思っている。


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新必殺仕事人第37話「主水娘と同居する」

第37話「主水娘と同居する」は、他の新仕事人エピソードと比べて特に突出したドラマというわけでもない。やはり何かしらの物足りなさを感じることは否めない。

が、ここでの主水の姿は、これが「仕留人」「仕置屋」「仕業人」「新仕置人」「商売人」……と辿ってきた中村主水の最後の姿だったのだ、と見たとき、小さな安堵のようなものを感じさせるものでもあるのだ。

主水の辿ってきた、ヒーローとしての、修羅としての、「恐ろしい男」としての道。どれだけ多くのものを失い続けてきたことだろう。仲間を、夢を、恋を、友を、家族を、自分の信じる「正義」を、全て失い、みずから踏みにじり、信じられなくなり、捨て去り、忘れ去り、唾棄し、置き去ったきた……

待っているのは、「いずれ私も地獄道」のはずだったのだ。

だが、「ぎりぎりいっぱい生き」のびた主水は、「新仕置人」チーム時代と同じように長い年月を共にするようになった若い仲間達を得ることをし、「仕置」でなく「仕事」を、「商売」ですらない「仕事」を、一歩退いた形で手にした……

そこに展けたのは、修羅を一呼吸外して「裏ですらも昼行灯」になっての、死から逃れる道だったのだ。
そうして、主水は仲間達を喪失することも免れるようになった。

「正義」や「信念」や……そうした、青臭いままだった部分を血みどろになりながら剥ぎ取った主水は、それらへの拘りを捨て去ることでもはや「ヒーロー」性は失い、昔から彼を追い続けてきたものにとって魅力をなくしたかもしれない。

だが、それが彼の選択だったのだ。
この時点で、どぶ川の中に顔をつっこんで死んでいる主水の未来は消失した。余生を弛緩した老人として仕事人の思い出を孫に作り事のように話す主水像が生まれてきたのだ。

生きのびる……それを貴重にするならば、そう、確かにこれでよかったのだ。

次に主水が「青臭い」ことを……「許せない」ことを口にしたとき……再び多くの仲間達を失うことになった、「裏か表か」事件が発生するのだ。

主水が「娘と同居」し続けることが出来ていたなら、すべての未来は塗り替えられていただろう。

この「主水娘と同居する」は、中村主水やその仲間達にとって、最終最後の分岐点だったのかもしれない。

新必殺仕事人第27話「主水出張する」

基本的に、おりくさんは不在が続いている。
その結果、いつも三味線屋はひとりぼっちであり、かつて加代に対して「おメエの仲間は気に食わない。八丁堀はいびりやがるし、秀の野郎は冷たいしよ」とか、のちのクールな三味線屋のイメージには似合わない愚痴を言っていたわけだが、それだけ本当に主水は三味線屋に冷たい。あくまで自分の仲間は秀と加代だと思っている感じか。
第23話「主水かくれて夜勤する」でも、自分が公務で仕事に参加できないのでと、加代が三味線屋を呼んでこようかというのを一蹴し、秀に「おめえ、ひとりでやれるか」と水を向けている。三味線屋と組むくらいなら、まだしも若い秀にでも任せたいわけか。

さて、2クールめには割りと有名な「主水猫を逮捕する」も入っているが、個人的に推したいのは、「新仕置人」「仕事人」に続いてついに半年目を乗り越えての3クールめに入った初っ端になる、第27話「主水出張する」。

これもまた、別に主水が出張していること自体がエピソードの主軸ではない。「猫を逮捕する」ほうはそれがそのままエピソードに絡むからいいのだが、こちらは主水が出張していようがいまいが大差ない。本当に、もう少しこのサブタイトルはなんとかならなかったものか。

内容は、時々ある主水の同僚物だ。
主水と同年配の同僚が、妻の病気の介護のために務めにいろいろ支障を来し、筆頭同心田中からはあからさまに早期退職を勧められたりで、相憐れんだ主水は加代を手伝いに差し向ける。(で、そのまま出張してしばらくいなくなる)
加代は最初ぶうぶう言っていたが、妻女から親愛の情を向けられ、次第に親身になっていく。
そして例によって、悪党が出てきて、主水の同僚は殺害される。(主水、出張から帰ってきて、これを聞いてびっくりする)

多少、勇次の恋バナ(笑)なども絡んではいるが、ここでの主役は加代だ。前「仕事人」時代からすると退化したかのような加代だが、心を通い合わせた妻女のために、きびきびと仕事を果たす。

この話が他と比べて心に残るのは、仕事のシーンなのだ。
なんと、加代が先導し、身動きもままならない妻女を秀と勇次が籠に乗せて仕事の現場まで連れて行くのだ。
そして、最も恨みの残る相手の死に様を、秀・勇次・加代の連係プレイで、一瞬、妻女の目に焼きつかせる。かつての「仕置人」第1話のように。「仕事人」第2話のように。

主水は……
この大切なシーンの後、雑魚数名を特に必要もないスローバラードで淡々と殺して終わる。要するに、主水のこの話での役割は、加代をかの家庭に紹介するだけだったのだ。
別に主水が出張していたからその間に悲劇が起きたというわけでもないので、タイトルは……

この反省から「仕事人IV」では、「主水○○する」以外に「秀、○○する」「加代、○○する」になった……というわけでは、たぶん、ない(笑)。

映像的には、やはりルーティンワークかなと思うが、確かに仕事のそのシーンの時だけは、はっとする部分があった。
エンディングテーマのラスト、監督は……工藤栄一。
そうか……と思いはしたものだった。

新必殺仕事人第13話「主水体を大切にする」

第13話「主水体を大切にする」は1つのターニングポイントだ。
なんとなれば……前回第12話で、第1話からの上司内山が八王子にとうとう左遷され、この第13話から新しい上司がやってくる。それ自体は昔からしょっちゅうのことだ。

実に、この「新仕事人」第13話でやって来た新任の上司こそが、後年有名になり延々レギュラーであり続けたあの男……「田中様」なのだ。

田中様……仕事人シリーズでとうとう秀や勇次の降板後も居座り続け、「剣劇人」にすら登場し、果ては巷説百物語の映画にすら登場して「中村さんはどこへ行ったの」とか叫んでいた、あの男である。

主水をいびり続ける能無しのナヨナヨしたオカマっぽい男。それが「田中様」のイメージだろう。

しかし、それこそバラエティ化した仕事人シリーズの産みだした恐ろしいトリックであり、実は登場当初の彼は能無しでもナヨナヨでもオカマでもなかった。キャリア組であり、しばらく研修がてら同心部屋にいて、後はとんとんと出世していくはずの若い、或る程度は有能な男だったのだ。
確かに主水を軽侮し、いびりがちなのはそれまでの上司と変わらないが、喋る口調はオカマでもなんでもなかった。いかにも若いキャリアだね、という感じだったのだ。

聞くところによると、仕事人のイベントか何かがあり、仕事人メンバーと一緒に筆頭同心田中も出演し、その際、ゲイとしてオカマっぽく喋ったりしたところ、それがウケた。
でもって、なんだかだんだんドラマ本編でもオカマ口調になっていき、ナヨナヨした物腰になっていき……とうとう、オカマ同心「田中様」になってしまったものらしい。

うーむ。
バラエティ化した仕事人シリーズの中で、オカマ同心というパートを担当できたゆえに、田中様は延長ボタンを押され続けた。バラエティ作品としての仕事人シリーズは、田中様によってもウケていたのだ。

そして、田中様の存在によって、奉行所内の中村主水もまたギャグ同心になるしかなかったのだ。

この「新仕事人」での田中様は、まだ普通の上司・筆頭同心の田中の時代だ。
のちの田中様を見慣れた目で見ると、この田中は新鮮である。
ここから出てきたんだなあ、この男は……と、しみじみ感慨を持って鑑賞するのがよいのである。

新必殺仕事人第10話「主水純情する」

「新必殺仕事人」は、続く「仕事人」ナンバーシリーズと比べれば、まだまだドラマも芝居も有ったのは確かだ。カメラワークもルーティンではなく、いくつかは心に残る佳作と呼べる回も確かに存在する。

しかし、足りないものがある。
それは、中村主水という男の情念だ。

中村主水が「必殺仕置人」で登場したときには、彼は仕置人チームの「知恵袋」であり、悪を標榜して外道を滅する「ヒーロー」だった。仕置人・中村主水は――かっこよかった。「男30過ぎてカッコつけようなんざ、落ち目になった証拠よ」。そのセリフそのものが、そのままかっこよかった。

「公儀隠密か!?」
「違う……仕置人だ」
仕置のテーマと共に登場し、こう言い放つ中村主水は紛れもないヒーローだったはずだ。

頭が切れ、家庭や職場では巧妙な昼行灯の顔を維持しながら、念仏の鉄らの前では剃刀のような鋭さと世の中を開き直ったふてぶてしさを見せる。

それは、仕留人時代の主水についてもおなじことが言えた。

仕置屋時代の主水は、糸井貢の悲劇を胸に刻みつけ、冷徹さや非常さを身につけることで「世の中少しでもよくなったか」どうかなど考えることなく、仕置を続けようと足掻いていた。仕業人時代には、すり切れ、薄汚れながら、「恐ろしい男」で在り続けた。

新仕置人時代、再び鉄チームの「切り札」の位置に戻ることで、主水は心の安らぎを手に入れていた。新仕置人時代の主水が冷徹さや非常さ、恐ろしさを見せることは少ない。これはやはり念仏の鉄がヘッドとして存在することの安心感が強いのだろう。不死身、無敵の鉄がいる限り、主水がグループの頭として責任を感じ、ストレスを溜める必要がなかったのだ。

その新仕置人が崩壊し、家庭内での大変動により、主水は新たに思い定めた商売人を開始する。ここでの主水にもあまり「恐ろしさ」は見られない。思うにこれもまた、チームと言えるのは実は実際の仕置を担当することのない正八のみであり、おせい・新次は彼ら二人の別チームとしての認識が、主水に責任者としてのストレスをもたらさなかったからではないか。だから、最終的に主水の魂をえぐり取ったのは、商売人チームの崩壊ではなかったのだ。

仕事人・主水には、そして苦さのみが残った。
もう、秀のような熱い躍動した心で仕置をすることはできない。できるのは、ただの「仕事」でしかない。
それでも、畷左門という男がいる間は、主水は秀には言えない真情の吐露を左門相手にはすることができた。もはやヒーロー性も、恐ろしさも、そうした「かっこよさ」の発露は全てあり得ない。ただ、それまでの中村主水という男の辿ってきた道程が、情念として、凄みとして、顕在化する姿を幾度か見ることができていた。

左門がいなくなり、主水には、ついに対等な仲間として語り合える存在を全て失った。
いるのは、若い連中――秀と、加代と、勇次。
たまに現れるおりくは、おとわとは違い、愚痴を垂れる相手にはならない。
その時、主水はひどく弱々しくなった。語る言葉は、例えば鹿蔵のような含蓄は持たず、ただの保身的な説教にしか聞こえなくなった。若い仲間からは「おっさん」と思われ、それも経験豊かな強靱な先達ではなく、簡単に心を見抜かれ、同情を寄せられる立場となった。あの、中村主水が。

この新仕事人第10話「主水純情する」では、主水が「いい年して」同僚の未亡人に純情恋愛感情を抱き、加代や勇次にいろいろつけ込まれた挙げ句、簡単に落ち込み、ついには加代から「薬が効き過ぎちゃったかな」と憐れまれるに至る。
とても、あの仕置屋や仕業人時代を経験してきた男の姿とは思えない。

新仕事人以降の主水は、裏の顔すらもが昼行灯となり、職場や家庭で軽侮されるのと同じに仕事人仲間からも重きを置かれなくなっていく。それはそうだ。言葉にも行動にも重みがなく、たまに何か語れば説教でしかない、そんな人間を誰がリーダーだ上司だと立てるだろうか。

それでも、未練がましく空想することはある。
主水は……やはり、非常に、冷徹になりたいのではないか。だから、「表の顔」の昼行灯ぶりを、「裏」にすら持ちこんで見せているのではないか。それは「敢えて」のことではないのか。
あまりにも失うものが多すぎた主水にとって、心を通い合わせる仲間、信頼しあう仲間を作ることを忌避しようという部分がそうさせているのではないのか。
主水は、「恐ろしい男」であると同時に、どうしようもなく甘く、弱く、脆い男であることは間違いないのだから。

そしてそうした結果、秀も勇次も加代も順之助もずっと失わずに済んで行ったのではなかったか。主水が「気が抜けちまったからそろそろやめようか」などとそれこそ気の抜けた理由で平気でグループを解散するようになったから……だから、彼らは崩壊の危機を迎えずに済んで行ったのではないか。

次に主水が仲間を失うのは、声を震わせながら後先も考えず相手をぶったぎった「裏か表か」でのことになるのだ。
感情を、情念を見せない中村主水。
それが、仲間を失わないための主水の最後の選択だった……そう考えれば、「新仕事人」の中村主水もまた……

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