荒木飛呂彦「ジョジョの奇妙な冒険」から アブドゥルの復活

第3部・空条承太郎編において、先代ジョジョ・ジョセフと共に現れた「炎」のスタンドの使い手、アブドゥル。しかし、彼はジョジョたちの戦いが激しくなるそれ以前に、いったん早々に姿を消した。敵のスタンド使い、ホル・ホースの「弾丸」によって「死んだ」と思われることによって……。

 アブドゥルの「死」は、ジャン・ピエール・ポルナレフをして、深くジョジョたちの仲間入りを果たさせた。あっけない、しかし、実りのあるその死だった……。

 が、突然、彼は甦った!

 ……ところで、あれは、本当に、本物のアブドゥルが甦ったんでしょうかね。あたしゃ、とっても疑問を抱いています。

 「作者」の側には入り込まないで、あくまで作品の中だけで考えるのが本義でありますが、アブドゥル復活編の半ばまで、実際は作者は「そんなつもり」は全然なかったんじゃないかしら……そう思うほど、あの話は唐突な展開(転回)をしています。
 僕は、案外魅力的なキャラクターだったホル・ホースを「仲間入り」させるのにはアブドゥルを「殺した」ことがネックになるので、それを「なかったこと」にするためにまずアブドゥルを復活させたんじゃないかと思ったほどです。

 あまりにも、あの話は前後のつじつまが合わないエピソードでありました。ポルナレフが、「アブドゥルの死は君の責任じゃない、ポルナレフ」とジョセフに慰められているシーンが一コマ回想で挿入されたりしましたが、あれがなんといっても不自然で、何となれば、ああいう形で回想シーンが挿入されるのはこの作者の作品には滅多にないことだと思うからです。車田正美や男塾じゃないんだから……。あれは、作者の「こんなつもりじゃなかったんだけどね、あのシーンは」というサインじゃないのかしら、と。

 まあ、これ以上はやめにしまして、本編そのものにつっこんでいきますが、


1 あの「アブドゥルの父親」がアブドゥルの変装だったというのは必然性がない。

2 アブドゥルが生きていたのをポルナレフに黙っていたのは、「ポルナレフは口が軽いから」と花京院が申し述べているのは、アガサ・クリスティ「カーテン」でポアロがヘイスティングズに隠し事をしていたときの言い訳と同じで、意味のない言い抜けにすぎない。ポルナレフはそんなに信用できない奴だと、花京院は思っていたのか。

3 甦ったアブドゥルは「失神していただけ」と主張したが、その点は、花京院が「気絶しているだけかもしれない」とせっせと脈を取ったりして確認していたはずである。

4 「甦ったアブドゥル」は性格が一変していた。

5 あのカメオとかいった凄いデザインの敵スタンドがポルナレフの妹を甦らせたとき、その「妹」は敵スタンドの知り得ようはずのないポルナレフと妹との「思い出」を知っていた。ということは、単に外見がそっくりな「土人形」を作り出したというだけではなさそうだ。あんまり想像したくないことだが、あのスタンドはもしや「本当に」死者を(土を媒介にして?)甦らせる能力を持つスタンドだったのではないのか。ただし、吸血ゾンビとして。
 もしこの仮説通りだとすれば、あのとき甦ったアブドゥルは「本当に」アブドゥルだったということになる。「死んだ者しか甦れない」からだ。

 そこで、「生きていた」アブドゥルは、これこそ偽物のモハメッド・アブドゥルだということになる。即ち、こちらの方こそ、たとえば実は、「アブドゥルの父親」の「変装」だったのではないのか。自らを責め、苦しむポルナレフを慰めるための……「ポルナレフは口が軽いから」黙っていた、などという残酷なことより、こちらの方がよっぽどジョジョの一行にはふさわしいと思う。

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