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平井和正「狼は泣かず」

ある晩、チンピラたちに袋叩きにされていた巨大漢・大滝雷太を救ったおれは、彼の生命力の逞しさに目を見張った。この男もまた、狼の血脈を受け継ぐ者なのか?しかし、その不死身性は、おれと雷太とを、血ぬられた凶運の扉の前に立たせることとなるのだった…。狼男の背負った宿命が徐々に明らかになり、新たなる展開を見せはじめる……

さて、「人狼戦線」で再生を果たしたアダルト犬神明が最終ステージにその足を進めたのが、この中編から。
原型があって、実はあの「エイトマン」の中のエピソードの1つ、「サイボーグ人間PV1号」がプロットそのままウルフガイに作り直されている。このエピソードは秋田書店の「8マン」コミックスには確か収録されていなかったはずだが、「復刻版8マン」や扶桑社の文庫版には入っているのではないかな。読み比べてみると、「人狼、暁に死す」や「虎よ!虎よ!」と同様にストーリーラインはほぼ同じであることに驚かされる。
「スパイダーマン」なら、もともとアダルトでダークなコミックであり、小説の短編「死を蒔く女」がエピソードの1つ「冬の女」になっているなど、最初から小説化されても不思議のない造りになっていたと納得できる。しかし、「エイトマン」は時代もずっと戻り、「鉄腕アトム」や「鉄人28号」と同時期にテレビマンガ(まだ「アニメ」なんて言われてない)になっていた作品だ。正直言って、秋田書店のコミックスを読んでいても、後半の長編エピソード「魔女エスパー」「超人類ミュータント」辺りを除いてはさすがに平井和正原作でも物足りなさは否めなかった。「子ども向けマンガ」の域でしかないと思っていたのだ。

よもや、その「子どもマンガ」のエピソードが、「ちゃんとした小説」としてほとんどそのままのプロットとストーリーで作り直すことが可能だとは、驚くばかりだったのだ。

なるほど、内面描写、キャラクター造形にしっかりと筆を費やすことで、同じストーリー、同じプロットが、こうも見事に「小説」にできるとは……脱帽、とはこのことだと思うしかなかった。

この「小説版」で不満があるとすれば、エイトマンならいつ何時でも発揮できる超能力を、満月期でなければ十全でないはずの犬神明が「月輪観」なる突然の裏技で手にしてしまうという点か。エンタテイメントとしては、新月と満月のサイクルでの能力の増減というのが1つ魅力になるわけなので、それが都合のよい「月輪観」で解消されてしまうのではつまらない、というのが感想だった。おそらくこれが、マンガ版のストーリーラインに縛られたための瑕疵だろうと思っている。

この「狼は泣かず」は祥伝社ノンノベルでは「人狼戦線」より前のエピソードになる「虎よ!虎よ!」とカップリングで刊行されている。そのため、「人狼戦線」で死と再生を体験した犬神明の内面変化があり、二つの中編を連続して読むと違和感があるはずだと作者が「あとがき」で解説しているわけだ。

角川文庫版では「虎よ!虎よ!」が「人狼、暁に死す」とカップリングされているので、じゃあ、「狼は泣かず」はどうなっているのかといえば、このエピソードと連続性を持った次のエピソードの「前半」とカップリングで、「ウルフガイ 不死の血脈」のタイトルで刊行されている。なんだよ、このタイトル、と正直思ったものだ。目次を見ると、「狼は泣かず」「闇のストレンジャー」と並んでいる。この「闇のストレンジャー」については、次のエントリーに譲ろう。


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