西澤保彦「依存」

安槻大に通う千暁ら仲間七人は白井教授宅に招かれ、そこで初めて教授が最近、長年連れ添った妻と離婚し、再婚したことを知る。新妻はまだ三十代で若々しく妖しい魅力をたたえていた。彼女を見て千暁は青ざめた。「あの人は、ぼくの実の母なんだ。ぼくには彼女に殺された双子の兄がいた」衝撃の告白で幕を開ける、容赦なき愛と欲望の犯罪劇。

いわゆる「酩酊推理・タック・シリーズ」が、巻を追うごとにどんどんこんなふうになっていくとは、「黄金色の祈り」を読んでいながらも、全く思いもしなかった。。。
 構成的な面で、なぜこういう形でなければならないか判らなくて、最後の最後まで「成功してないんでは?」などとバカなことを思いながら読んでしまった。。。
 これは、最後のページまで読んで、なぜかストンと胸に入った。
 これは。。。この構成でなければならなかったし、こういう展開でなければならなかった物語だった。。。
 ラスト近く、歌野晶午「安達ヶ原の鬼密室」のような理由でこういう構成なのかなと思いもしたけれど、それとはレベル的な意味で全く違った。
 これは。。。
 技術的な点で、語る言葉の持ち合わせがない。けれど、これはこうでなければならなかった。。。そう思う。。。
 タイトルも、構成も、展開も。。。物語も。登場人物たちも。。。
 これを、「ミステリ」としての傑作と読んでいいかどうかは、「黄金色の祈り」の時とおなじで、判らない。
 けれど、タックたちの物語としては、間違いなく、必要なものだったし、なくてはならないものだった。
 これは。。。

 シリーズ・キャラクター物で、最初わりと脳天気に始まったのが、どんどん深刻な感じになってきている、そんなシリーズの、、、
 男が、女に。女が、男に。子どもが、親に。親が、子どもに。友達が、友達に。
 「依存」して、生きていく。。。しかない、そんなひび割れの話でした。
 とりあえず、今の時点の私に直接響いてくる内容にはなっていなかったので、凹まずには済んでいますけど。。。(ちょっとかすってたというか、下手すると直撃したかもしれないのですが、とりあえずスレスレで。。。(^^;)
 この同じ作者の、「黄金色の祈り」の方は直撃で、どうしようもなかったんですが、幸い、あくまで「ミステリ小説」の枠内で踏み止まってくれているタイプなので、完全には凹まないで済みました。
 私が舞夜さんのところから派生して、こんなふうに「佐々木丸美一派」の中に混じっているのは、実際、「依存」です。居場所無しでは、やはりつらくて生きられなかったらしいです。
 今、こんなふうに、長々としているのも、そうですね。そして、「いる」ことを許可してもらいたい。そして、相手にも、ここにいてほしい。。。 つまりは、そういうことなんだろうな、、、と思います。
 でも、この「依存」を捨てたら、それはそれでいけないのかもしれない。。。とも思うようになってます。依存して、相手を苦しめるのも自分勝手だけれども、誰にも依存しないというのは、これは傲慢以外ではあり得ないので。。。
 新井素子「あなたにここにいて欲しい」という小説もありました。これ、一度読んであまりに内容が恐ろしかったので、二度と読んでないのですけれど。。。 これも、依存と甘えと傲慢の話だったのかもしれません。。。

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