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加納朋子「いちばん初めにあった海」

堀井千波は周囲の騒音に嫌気がさし、引っ越しの準備を始めた。その最中に見つけた一冊の本、『いちばん初めにあった海』。読んだ覚えのない本のページをめくると、その間から未開封の手紙が…。差出人は"YUKI"。だが、千波にはこの人物に全く心当たりがない。しかも、開封すると、「私も人を殺したことがあるから」という謎めいた内容が書かれていた。"YUKI"とは誰なのか? なぜ、ふと目を惹いたこの本に手紙がはさまれていたのか? 千波の過去の記憶を辿る旅が始まった―。心に傷を負った二人の女性の絆と再生を描く感動のミステリー。

初めて、この人の第1作「ななつのこ」を読んだとき、当然のように私もまた「なんだ、北村薫ではないか」とか思ったものだった。。。

 ただ、北村薫の「私」たちが、勿論のように隅々まで理想を与えられているのと比べると、「ななつのこ」のヒロインは、いきなり最初のページからざらっとした「本物の女性」のナマさ加減というものを感じさせて、それで、何となく居心地の悪さをも感じさせられた。。。

 ミステリとしての「謎」性についても、どうしても「本家」北村薫と比較しがちになってしまい、私はあまり加納朋子さんのよい読者とは言えないようだ。。。

 それでも、感性が今のような状態の時には、いっそ本家に比べればある意味不器用なほど「へた」なこの小説が、ラストシーンでどうしても涙腺を緩ませてしまう。

 「つまらない」言葉がとても胸を「つまらせる」ときがある。それは、その言葉が必要なときだからなんだろう。。。?


 *

 併録のこの少女は「麻子」だったんだろうか?

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