必殺仕事人2009第10話「鬼の末路」

来たか……こう来たか!

正直、舐めていた。もはや型に嵌った「仕事人の掟」、型に嵌った「苦悩」、型に嵌った「口先だけの」……。そんなものしか表出できないだろうと思っていた。キャストの演技力のことではなく、状況が。

「必殺仕事人」という名前に被せ込められた「正義の味方」のレッテルが、許さないだろうと。

「うらごろし」で、善も悪もなく、ただ当然のこととして白昼に殺戮を繰り広げた先生やおばさんや若のあと、仕置人である(あった)ことを忘れた中村主水が最後の人生を遂げようとした「必殺仕事人」、それがテーマを喪失し、あるいは生み出すことをやり切れず、そのまま方向も思考も捉えられない形で彷徨った……

「新」の名の付いた「新必殺仕事人」以降、口で悩みを泣き言を申し述べる仕事人たちは輩出したが、実際に絶望のどん底で懊悩する姿を見せたものはいなかった。ファースト「仕事人」で何度も泥にまみれた錺の秀も、「新」以降、スタイリッシュなヒーロー像を見せていく。秀が、中村主水が、その後どぶ泥に溺れたのは、「裏か表か」が唯一であり最終最後だった。

渡し人も、橋掛人も、仕切人も、始末人も、口上で罪を掟を“言い訳”として語る「説明役」であり、彼ら自身はあくまで「正義」を体現しうるに十分だった。だから、剣劇人たちは、そんな彼らを、そして代表者たる「仕事人」中村主水を「あんたは古い」と笑って葬ったのだ。

「激闘編」「激突!」と、仕事人は幾度も「ハードだぜ!」をやりたがったが、口でいくら言い繕おうと、「掟だ罪だ」とは一言も言わなかった「裏か表か」の前に意味を持たなかった。どんな重々しい言葉も、「ションベンしちゃった……」と絶望と虚無の中に惚けて笑う秀の姿に敵うわけがない。窶れ果てた主水の背中の方が、「金をもらわなきゃただの人殺しだぜ」と重々しく言う決まり文句より幾層倍も背負うべきものを見せているに違いない。

追いつめられ、格好の良い仕事の道具ではなく、転がっていた石をぶつけて撲殺して逃れる、この無様さは、確かに「新仕事人」以前のものだ。良いとか悪いとかではなく、ただ、有ったものが無くなっていた、そしてそれには有り続けてほしかった「無様さ」、なぜなら、それが「ヒーロー」と「人」を分けるものだから。「無様さ」。そうだ、人間は無様なものなのだから。
「新仕事人」以降、「裏か表か」一本をのぞいて、誰ひとり見せることが無くなっていた「無様さ」、それがまさか、この2009で顕されるとは。

今回は、この流れがなくとも相当映像的にも物語的にも本格的なものだなとは思っていた。ちょうど「仕事人IV」が再放送されていて、今の中途半端さの強い「2009」と比べると、「IV」はバラエティ化してルーティンワークではあるけれどちゃんと仕事人たちに絡みがあり、物語の結構は整っていたんだなと思ったりしていたのだが、今回をもって、評価的には「2009」は一気に上を行った。少なくとも、挑む姿勢があったことをちゃんと証明して見せたと思う。やるつもり……があったのだなと。

次回、この幕引きをどうするか、それが肝心なところではあるだろうが、そこで不出来が生じたとしても、それを嗤うことはしないでおこうと思う。不出来、失敗と言えば仕事屋だってうらごろしだって失敗だったのだ、風雲竜虎編だって尻窄みだったのだ、仕掛人だって仕置人だって……

やるつもりがあったのだなと。そこに感謝したいと思う、それだけだ。

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おっぺさん、こんにちわ
「仕事人2009」大変なことになりましたね~!!!
源太、どうなってしまうんでしょうね…
涼次は鉄つぁんみたいな人かと思ってたんでなんか意外でした
「仕事人2009」はなんか内容が薄い話が多かったんで今回は衝撃的でした
でも「仕事人2009」は第四話の話も好きです
感動的でした

あと個人的なことなんですが必殺の感想などはこれからすべてこっちのブログに書くことにしたんでよろしくお願いします
http://3993.blog3.petitmall.jp/

巳代松さん、こんばんは。
涼次については、別の見方をすれば相当大胆不敵でもあるかもしれません。日常で平然と殺し道具を持ち歩き、仕事を目撃されても焦り慌てふためくことなく、ただ姿だけくらまそうとする。鈍感なのかもしれませんが(笑)、ひょっとしたらとんでもない無敵の神経の持ち主かも(それを鈍感というのか(笑))

今、こちら(埼玉県)では、テレビ埼玉で最初の仕掛人から始まって順番に毎日(平日)必殺の再放送をしてくれているんですよ。(なぜか、「翔べ!必殺うらごろし」という物凄い内容のだけ飛ばされました。物凄い内容だから飛ばされたのか(笑))

で、今は仕事人IV、錺職の秀と三味線屋の勇次、西順之助、何でも屋の加代と全員揃っていて、いちばん必殺の人気のボルテージが上がり、だけど昔からのファンには内容的に物足りなくなっていた時期のものです。これを見ていると、確かに本放送当時物足りなかったのだけど、今の2009に比べたらまだちゃんと仕事人同士がしっかりドラマの中でお互い話してて絡んでいるし、いいじゃないか……とか思ってしまって寂しかったんですが、今のスタッフもいろいろ頑張っているのが解った気がして嬉しくなりました。とりあえず、勝手に悪口を言うのはやめようかと――最終回を迎えるまでは(笑)。

巳代松さんが旧の「仕置人」とか、「仕置屋稼業」とか、果ては「うらごろし」とかを視聴する機会があったら、どんな感想を持たれるか興味がありますね。

化けてくれましたね、2009。まさかここまでやってくれるとは。殺し屋の掟で殺しの目撃者は殺すという掟がありますよね。過去のシリーズでも口では何回も言っていたけど誰も目撃者は殺しませんでしたよね。それをこのシリーズでやってくれるとは思いもよりませんでした。それに源太の無様な殺し。ストーリーも重くてハード。黒頭巾の心理描写も見事でした。・・・でも、後編はね・・あの凄い話をどう幕引きするか?が重要なのにコケてしまいました・・あちゃーって感じでした。

テレビ埼玉では後期の仕事人をやっているんですね。こちらは瀬戸内海放送が観れて、その瀬戸内海放送では今無印仕事人をしています。今日で68話です。これ以前の再放送は仕置人、仕留人でした。やっぱりに2009に便乗してですかね・・

目撃者といっても、むしろ「依頼人」のくせに「的を庇った」のですから、涼次は「依頼人だぞ!」と言い、小五郎は「おれは頼まれてねえ」と言いましたが、「依頼を翻した依頼人」ということで仕置きされて然るべきかなと私は思いました。……「仕事人」第3話の鹿蔵の仕置がありますからね。……きっぱりと。
後編は、あれはあれで充分かと思います。瑕疵といえば、「母親」として近づいてきた彼女があまりにも悪人丸出しで、騙されようもないはずじゃないかという(笑)。とはいえ……人は、自ら騙されたくて騙されるときがあるものです。むしろ、そういう感情を描ければ。
難しいなら、これもまた「仕事人」第3話のごとく、視聴者をすら欺く離れ業に挑んでほしかったですね。
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